がんを発病すると、寝たきりになったり、それまではとかなり生活がガラッと変わってしまうイメージがありました。そのため、高齢の父が甲状腺がんだと診断された時は、寝たきりや介護が必要なることを覚悟していました。
甲状腺がんだと診断されたものの、父はいたって元気でした。毎朝の体操と散歩は欠かしませんし、老人会への参加も積極的です。寧ろ、摘出手術を受ける方が今以上に大変な生活状態になってしまうのではないかと、不安に思いました。医師からは、癒着やがんの大きさによっては、声が出なくなったり、食事も経口では難しくなるかもしれないと言われました。そうであるならば、手術前にこんなにも元気で普通の生活が送れている方が幸せなのではないかと思ったのです。
私の中では、こうした葛藤の気持ちが渦巻いていましたが、結局本人の意向により摘出手術を受けることとなりました。幸いにも、声帯の片側をのせて声も出ますし、食道もほんのごく一部の摘出のため、普通に食事ができます。手術前はかなり不安な気持ちでいっぱいでしたが、摘出手術は受けて正解だったと思いました。おかげで、今現在父は、以前と変わらずに元気に過ごしています。